2017年11月20日

安売り戦略の最適化

何も考えずに安売りを続けても競争には勝てません。価格競争の激しい中で、どのような安売戦略を展開していけばいいかを考えていきます。

安売り戦略の最適化

私たちは何のために安売りするのでしょうか?

  1. 新規顧客獲得する
    店舗を周知させ集客して売上増を目指す。
  2. 既存客を維持する
    お客様に喜んでいただきリピート率を上げ競合店にに対抗する。
  3. 商品の現金化をする
    在庫処分など何らかの理由で現金が必要な場合もあるでしょう。

安売りをする理由は様々な考えがある。

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お客様が減ってどうしようもないから

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競合他店が安売りを始めたから

もしかしたらあなたは競合店の動向が気になっているのではありませんか?

安売りをする真の理由はお客様を集め利益を出すためです。
利益にも色々ありますが、何の利益も出ない安売りはまったく意味がありません。
ここを間違ってはいけません!

この安売り戦略を成功させるには、安売りの狙いと成果(安売りをすることで得たいもの)をハッキリさせなくてはなりません。

安売り戦略の狙い

1.リピーターをライバル店に取られないようにできる

商品には2種類あります。
お客様を引き付け集める為の商品と利益を出す商品です。

ライバル店に、集客商品価格を下げられると、あなたの集客力に影響が出ます。

ライバル店に、利益商品価格を下げられると、今度はリピーターの獲得が悪くなります。

リピーターこそ、利益を生み出すお客様です。
利益を生み出す商品は、繰り返し買われる消耗品が多く、この商品が売れなくなると確実に利益がなくなります。リピーター減は、利益減に直結します。

携帯電話会社が、電話機本体(集客商品)よりも通話料(利益商品)で儲けているのはこの原理です。
PC本体(集客商品)とセットのプリンターとインク(利益商品)も同じです。
お客様は、新しく購入しようとする商品の本体価格に敏感です。
1円でも安いものに惹かれます。ですから、競合店がこれらの集客商品価格を下げて来たら徹底的に戦わなくてはなりません。一旦お得意様を取られてしまったら、もう先がありません。赤字になってでも戦わなければならないのです。そうしないと利益商品の販売が出来ないからです。

2.安売りの目的は、何が何でも新規客を集めることです。

安売りの目的は、何が何でも新規客を集めることです。

お客様は、ちょっと値引きした程度の中途半端な安売りでは集められません!
安売りが当たり前になっている現在では、安売り店だという認識をしてもらわなければチラシやwebさえも見てももらえないでしょう。
チラシをまいて「思ったより来客がありませんでした」では、次につながりません。
オーっと思わせるぐらい安い!これは絶対にお得!と感じさせる思い切った価格を提示しなければなりません。
思いきってください!清水の舞台から3回くらい飛び降りてください。

しかし、なんでも思い切って安くすれば良いというものではありません。思い切って安くして、お客様を集め、最終的に儲けなければいけないのです。
利益ですよ!利益!!
ですから、安売りで集めたお客様に、他の商品(利益の出るもの)を買っていただかなければなりません。安売りで集め、お店の良さを知ってもらい、後からでもいいので利益の出る商品を買ってもらって儲けるということです。
つまり安売りは先行投資です。
そのためには、リピーターになる可能性の高い客を集めなければいけません。
バーゲンばかり狙ってくるお客様ばかり集めてしまっては意味がありません。
既存のリピーターさんと同等のお客様を集めるのです。
リピーター層がよく買っている商品を研究し、そのライフスタイルを想像してみるのです。
そうすると、安売りに使える商品、喜んでいただける商品は絞れてきます。

3.安売りをして集めたら囲い込む。

思い切って安くしたら、赤字になるかもしれません。
それでも、お客様が集まらないよりは100倍意味があります。
100倍の意味を見つけ出すには、集客後に儲けをつくりだす仕組みを作っておく必要があります。予算があるのなら電子的なポイントカードの導入がいいです。
様々なデータが集計できます。このデータこそ、今後の宝になるものです。
しかし、お客様は何枚ものポイントカードを持っていますから、「ポイントカードはお作りになりますか?」などという生ぬるいトークではダメです。
ポイントカードはお客様のデータ取得の為に、絶対に登録してもらわないと意味がありません。安売り戦略では「嫌だけどお得だから登録しよう」と思わせるぐらい入会特典がないといけません。圧倒的な特典です。
また、ポイントカードを作ったからと言って、それだけで再来店を期待してはいけません。
ポイントカード自体は、お客様の購入履歴を調べるもので、改善点のヒントをくれるものでしかありません。
再来店してもらうためには、他の努力が必要です。
では、ポイントカードシステムを導入するほど予算がない場合はどうしたらいいか?
そのような場合は、すぐに実行ができるのはスタンプカードです。
自作のカードでもいいです。印刷しても大きな金額ではありません。
スタンプが溜まっていくのはベタなやり方ですが意外と楽しみなものです。

4.ポイントカードで儲けるにはどうしたらいいのか?

ポイントカード(会員)は、一人でも多くのお客様に加入してもらわなければなりません。
会員特典などをPOPにデカデカと書いてください。
そして最も効果的なのは、お会計時の勧誘です。
「本日のお会計からお得になります!」と笑顔で伝え、ポイントカードへの加入を積極的に勧めることです。
ポイントカードで購買履歴を測定すると、誰が何をどのくらいの頻度で買っているのかがわかります。
誰が満足しているのか?
誰に何を売ればいいのか?
改善のヒントが得られます。
繁盛店の多くは、ポイントカードを通じての顧客データが販促活動に活きています。
お客様の個人データと購買履歴を使い、ポイント還元をはじめ、お客様の好みに合ったドリンクやメニューを提案したり、メール販促で来店を促したり、お名前で呼んだり、サプライズで誕生日祝いをしたりしています。
再来店したくなるお店作りをすることが、お得意様を増やし利益を増やす最も近道です。
いくらデータを活用し、多少の特典を付けても不愉快になるお店にはお客様は定着いたしません。

5.イベントで客を集め売り上げを増やす。

今すぐにでも導入できそうなのが、つめ放題やタイムセールなどです。
SNSで告知することができるのであれば、急に仕入れた商品でもイベントを行うことができます。
イベント成功のポイントは、「人だかり」であり「行列」を作れるかどうかです。
お店にお客様が溢れかえっていないと意味がありません。その「人だかり」や「行列」が、人の関心を刺激し、次のお客様を呼ぶのです。

その為に戦略的なイベント設計では、敢えてお客様の多い時間帯に行うのが正しいやり方です。暇な曜日や時間帯にお客様を呼ぶためのイベントもあちこちで見かけますが、これは店の都合を優先しているのが透けて見えてしまいます。
お客様がご来店しにくい時間帯にイベントを開催するのなら、それに見合ったお得感がないといけません。「おもてなしの精神」で考えてみれば当然のことです。

6.安売りしても利益を出すには、どんな商品を選択するべきなのか?

2でも書きましたが、お客様が安さを感じ喜んでいただける商品は、日ごろから何度も買っている商品の中にヒントが隠されています。
店で一番数が出る商品、またはその周辺が、安売りでインパクトを出すのに適しています。
お客様としては、低価格は嬉しいのですが、無意味に安いというだけでは安心していただけません。そこには品質が保障されていることが必須条件になります。
品質がどこで買っても変わらないような消耗品なら、単純に価格が安い店から買います。
いろいろな店で値段を比較して、一番安い店で買い物をします。

安売りしても利益を出すには、どんな商品を選択するべきなのか?

逆に買ってみないと品質が分からないような商品、例えばお寿司のパックなどでは、単に安ければいいというものではありません。やはり、ネタは新鮮なのか、美味しいのかが気になります。また、あまり安すぎると、「本当に大丈夫なの?」と不安が先走ります。
一方、有名ブランド品や宝石などは、安売りすると逆に売れなくなることがあります。
これはステータスが下がってしまうからです。

7.安売りでお客様を集めるには信憑性が欠かせない。

安売りでの集客が成り立つためには、土台として、あの店は信用できるということが必要です。
その信用の上に、安くして売る信憑性のある理由が必要となってきます。
土台が良い!安くする理由が明確!この二つが揃ってこそ集客は出来ます。
更に、今買わないと損をするとお客さんに思わせる必要があります。

そのために限定的にします。期間や場所や個数などで限定的にしていきます。

信憑性を示す例

  1. 『他店対応価格』
    競合店に負けないレベルで値下げをしても売れなかったものが、「最終価格!」とPOPを付けただけで売れたケースがあります。
  2. 『誤発注在庫処分セール』
    「お恥ずかしい話ですが、間違えて余計に多く発注してしまいました。そのため、お客様の日ごろのご愛顧にこたえ、格安で在庫一掃セールをやることにしました。ぜひ、お越しください」と、安売りをしなければならない理由をハッキリと伝えたケースもあります。
    店舗改装に伴い在庫セールをするのも理由に納得がいきます。
  3. 『売りつくしセール』
    鮮魚店では、「明日は店舗が休みのため全品売り尽くし!」とうたっています。これは、間接的に「私たちは、いつも新鮮な魚しか売っていません」というアピールにもなっています。
  4. 『エコ下取りセール』
    服屋や家電店などでは「下取りセール」をしています。資源の有効利用のために、お客の不用品を買い取るということを理由に安く売るという方法です。

8.どれだけ安くすればいいのでしょうか?

2割、3割の値引きは当たり前です。その程度の値引きを見せてもお客様は安く感じません。
実際は本当に安くても、赤字で泣きそうな状態でも、他の店で同じような価格で売っていたら「安い」とは感じてもらえないのです。
お客様目線で「これは安い!」と感じて、初めて効果的なのが安売り戦略なのです。
しかし、もし、お客様がその商品の価値やいつもの価格を知らなかったら…。
いくら値下げしてもお買い得感は伝わりません。
価値をわかる人が、「すっげー安い!」と感じるのです。
誰に価格を提示するかによって全く変わってきます。

9.お得感を高める為にはどうすればいいのか?

安売りでは、価値のあるものを安くしなければ意味がありません。価値を感じないもの、欲しくないものをいくら安くしたって、安売りにはなりません。
お客様には「売れないから安くしたんだ、こんなもの売りつけようとして…」と思われてしまい逆効果です。
商品の価値はお客様によって変わってきます。
ですから、その商品の価値をわかっている人に安くしていあげるのが効果的なのです。
「こんなに価値のあるものが、なんとこの価格!」と言うようにご提案するわけです。

価値のわからない人に安くしてあげても買いません。ここを間違えると酷いことになります。

10.割引表示でお得感を演出する。

割引の表示の仕方一つで、売れ行きが変わってしまいます。

ブランドで売っている商品は「〇〇%引き」、商品自体で売っている商品は「〇〇円引き」が効果的です。
「大根1本198円のところ60円引き!」
これなら「ずいぶん買いやすくなった」とピンときます。
シャネルの432,000円のバッグが30,000円引きと言われても安いのかなんだかピンときませんが、10%引きと言われれば「なるほど~」とイメージできます。
スーパーの大根は、日ごろから買いなれています。いつもの価格帯をだいたい覚えているので、198円から60円引きの価値がわかります。
しかし、シャネルのバッグは、買い慣れていません。
何と比較していいのかもよくかわかりません。
そのため、定価と比較することになります。
すると、金額ではなくパーセントのほうがわかりやすいのです。
これは日用品でも同じです。無印良品は日用品を売っているのに「%引き」表示になっています。これは、無印良品は日用品をブランド価値で売っているからです。

11.お得感を強く実感させられる値引きの仕方

ポイントカードの多くは、ご利用金額200円~100円につき1ポイントが加算されます。
ポイントでは実感が薄いですよね。受動的にもらえるポイントよりも、お客様自身が自分で選べたり、その場でキャッシュバックだったりとお得感を強く実感できる仕組みもあります。

  1. 『自分で好きな商品に貼れる値引きシール』
    値引きシールはスーパーで閉店間際の刺身などに張られるものが一般的ですが、自分で好きな商品に貼って使うタイプがあります。
    「東急ストア」では「勝手値シール」、スーパー「サティ」では「イイ値ナッ得シール」という値引きシールを配布しています。だいたい20円引きシールを10枚程度貼れます。
  2. 『キャッシュバック』
    カード会社が飲食店でのキャッシュバックサービスをしていますが、お店を利用した翌々月に銀行口座に振り込まれるものです。これでは実感が湧かずお得感も半減です。
    やはり、その場で、現金をいただけたらハッピーではありませんか?
    2万円の商品で5%の値引きなんて誰も見向きもしないのに、1,000円札をあげるとすごく喜ばれます。実感できるって、価値なんですね。

安売り戦略の最適化

「安売りはしてはいけない」と、あらゆるところで言われています。
しかし、きちんとした戦略の上で安売りをすれば、それは強力な武器になります。
よく、お客様をフロント商品で集めバック商品で儲けを出す仕組みを作らなければいけいと言われますが、安売りはこれと同じです。
適切な商品を安売りすれば、良い集客商品となります。
あらゆる企業は安売りから参入し大きくなってきています。
苦しくなったから安売りをするのではなく、計画的に行うことでお得意様を増やし、売り上げも増やしていくことができるのです。
大切なお客様の笑顔を想像しながら、あなたの店の「安売り戦略」を考えてみようではあませんか!


新規顧客獲得はなぜ難しいのか?


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なぜ難しいのか?

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